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This is JBIG’s Mission and Management.

アイオー総合研究所所長を務める今成 淳一氏と、JBIGの野田 泰平が、ドラッカー経営を通じてJBIGの「使命」と「経営」について語り合った。


今成さんプロフィール

今成 淳一氏

アイオー総合研究所所長
株式会社P.G.C.D. JAPAN社外取締役

1959年生まれ。電子部品メーカーに勤務後、企業におけるマネジメントノウハウを修得するため、大手コンサルティング会社に転職。その後、経営コンサルティング会社役員を経て独立。経営コンサルティング歴は30年以上で、近年はピーター・ドラッカー教授のマネジメントを学ぶ研修を主体に取り組む。「近視眼的な問題解決ではなく、“良い会社づくり”の大切さを訴求しながら、その考えを経営に取り入れること」をモットーに経営コンサルタントとして多方面で活躍している。

どうして、ドラッカー経営を取り入れたんですか。

ピーター・ドラッカーと日本人の親和性

野田泰平(以下、野田) 今成先生も講師を務める「ドラッカー塾」を学んだ時、大きな刺激と衝撃を受けました。「この方向こそ私たちが進むべき方向だ」と確信したことが、JBIGにドラッカー経営を導入するきっかけでした。

今成淳一(以下、今成) 野田さんが情熱を持って「ドラッカー経営に真剣に取り組みたい」とおっしゃっていたのがすごく心に残っています。経営者が「事業を成功させたい」とか「会社を変えていきたい」と思った時、まず最初に自分自身が学び、変わることが第一歩だと思うんです。それをドラッカーは「真摯さ」っていう言葉で表現しています。野田さんは、まさにそれを実践されようとしていらっしゃると感じました。

野田 今成先生に取締役をお願いするにあたり、「私自身が絶対に本気でやりきります」とお約束しました。 今成先生はP.G.C.D.にどのような印象を持たれましたか?

今成 最初にP.G.C.D.の使命のお話を伺った時、イノベーションを起こそうとされているというのが印象的でした。「美しくなる習慣をデザインする」ということは、日本人にとっての「美」、これからの「美」とは何なのかを問うてますよね。「習慣」とは「生きること」。どう生きていくのかをデザインしていくことで、これからの日本企業にとって、すごく大切な試金石になるのではないかと思っています。

野田 ありがとうございます。ところで、ドラッカーは日本絵画のコレクター、かつ日本文化に精通していたと言われていて、ドラッカー本人も「日本人はドラッカー経営に向いている」と話しをされてますよね。

今成 ええ。ドラッカー自身はオーストリア出身ですが、日本文化や日本人の経営者から学んでいることが多いようで、ご自身のことを「日本人の代弁者」という風に語ったそうです。ドラッカーはヨーロッパ人でありながら、日本人の経営手法を活かして、世界に紹介しているという面もあるのではないかと思っています。

野田 私も「日本人とドラッカー経営は近しい部分がある」と語ったドラッカーの想いに近づきたいと思っています。私はまだ、ドラッカーの真髄には程遠いのですが、彼の言う「貢献」の精神が日本人に合っているのではないかと思っています。「自分だけ良ければいい」ではなく、社会や仲間、顧客に対して、どう貢献しているのかをドラッカーも問いかけていますよね。私自身も会議の中で、「自分はどう仲間に貢献しているか」、「他部署に貢献できることは何か」と聞いています。自分だけ成果を出せばいいのではなくて、どうやって他部署に貢献して、みんなで成果を出すのかを考えることがすごく重要なことだと思うんです。

今成 ドラッカーの言葉でいう「貢献」、日本人でいう「利他の精神」といった考え方は大切にしていくべきものだと思いますね。

野田 また、ドラッカーは「MBO※1(Management By Objectives and self-control)」という言葉を使っていますよね。一般的にManagement By Objectivesと覚えている人が多いんですけど、「and self-control」まで入ってるんです。「セルフコントロールをしなければいけない」という部分がとても重要なんです。MBOは基本的にみんなで共有し合うもので、MBOを達成するためには、他者への貢献も考えなければならない。自分だけがMBOを達成していても、他者も達成されていなければ全体の目標は達成できないんですよね。つまり、自分だけではなくチームや他部門に対しても貢献しながら成果を出すということは本当に大切だと思います。

今成 そうですね。野田さんがおっしゃられるように、ドラッカーマネジメントと日本人としての生き方をリンクさせながら経営していくことも、これからの日本人経営者の一つの在り方なのかもしれません。

※1【MBO(Management By Objectives and self-control)】MBOとはあらかじめ評価者(上司)と被評価者との間で目標を設定して、被評価者が自ら設定した目標達成のために努力をすることで、結果として会社組織としての目標を達成させるためのシステム。経営哲学者であるP.F.ドラッカーが提唱した。個々の社員が自分で目標を設定し、その進捗や実行を各人が自ら主体的に管理するという制度。

ドラッカー経営の「5つの質問」とは?

お客様を知り、向き合うことが「P.G.C.D.らしさ」

野田 今成先生に最初は社外講師として、P.G.C.D.の主要なメンバーに『ドラッカー研修』という形式で、ドラッカーの考え方を教えていただきましたよね。メンバーみんなが、素直に真剣に向き合ってくれているなと感じました。

今成 そうですね。ドラッカーは全体の「基本と原則」を明らかにしてくれた人なんですよね。方法論ではなく、マネジメントの全体像、概念を示してくれたんです。ですから、ドラッカーの考え方は、経営や管理をされる方に、最初に身に付けていただきたい内容です。基本である、「お客様に貢献するために仕事をすること=顧客の創造」の部分を誤ってしまうと、働く意味が変わってきてしまいます。例えば、お金のため、生活のため、名声のためなど。もちろんそれらも大切ですが、事業の大元にあるのは「お客様のため」であることを、しっかりと内外に理解してもらうことが大切です。働くことの価値や働きがいは、こうした信念の上にこそ生まれる。それを最初に学んでいただきたいと思います。

野田 ドラッカーってすごく究極なんですよね。「あなたはその仕事を無償でもやりますか?」と問いかけているんです。会社に集まるメンバーがそういう想いを持って取り組める仕事かどうか、事業に価値を感じてくれる人を仲間にできているかどうか。私は、それぐらい強烈な想いを持った人が集まれるような会社を作れているのか、と考えた時、まだまだ程遠いなと思いました。「お客様のため」というのは言葉だけだと綺麗だが、それだけでは仕事はできないと否定的な事を言う人も出てくるかも知れません。でもドラッカー経営ではそこを乗り越えて、徹底的に「我々の使命は何か」「我々の顧客は誰か」「我々の顧客は何を価値と考えるのか」「我々の成果は何か」「我々の計画は何か」と問いかけてくる。私はこのドラッカー経営のベースでもある『5つの質問』をメンバーにも考えて欲しかったんです。

今成 会社というのは、事業そのものももちろん大切ですが、そのために働いている人のマネジメントも必要ですし、組織とか仕事とか全体を覆うわけです。その意思決定ができないと、経営はうまくいかない。そういう意味でも、企業という全体像の基礎を教えてくれるドラッカー経営は、すごく有効なのではないかなと思いますね。

野田 そこでドラッカー研修を受けるメンバー全員に、研修のテーマとして「必ずお客様とお会いして、お客様の話から導き出した答え、もしくは考えを持って、最終的な提案を行う」という宿題を出しました。私たちはECのみのD2C(Direct to Consumer)ビジネス、昔でいう「通販」というビジネスなので、お客様と直接会わなくても成り立つんです。でも、お客様たちがなぜ私たちのお客様になってくれているのかということに対して、会社として向き合うことは本当に重要だと考えているからこそ、メンバーに対してそういった宿題を出したんです。

今成 まさに、ドラッカーの「5つの質問」の、自分たちの使命、顧客は誰か、顧客は何を価値と感じているか、をメンバーの皆さんに問いかけたんですね。

野田 私はマーケティングにおいて、「データだけで解釈するのは絶対にしてはいけない」と言っています。実際にお客様にお会いした中で、お客様の言葉から感じたこと、気付いたことに対して、私たちは何をすべきか、お客様にどう貢献するのかを考えることが、P.G.C.D.の商品やサービスになる。それは、データのどこにも載ってないことなんですよね。お客様と向き合うことこそが、P.G.C.D.がこの世に生まれて顧客を創造できている価値だと思っています。

今成 その結果、社員の皆さんは改めて「お客様の声って大切なんだ」と気付かれたんじゃないでしょうか。実際にお客様とお会いすることで、自分の体験として身につけることができたんだと思います。

ドラッカー経営で訪れた変化

野田 お客様とお会いするたびに、私たちはお客様から商品への愛を教えてもらっています。私たちの会社では、「3つの愛」というものをすごく大切にしています。この「3つの愛」は順番もあり、最初に「商品への愛」から始まって、その次に「お客様への愛」、そして最後に「仲間への愛」なんです。「もうこの石鹸が世の中からなくなったら生きていけない」「この石鹸は私の体の一部なんです」と本当におっしゃるんです。お客様の「商品への愛」の深さは私たち以上だと感じることもあります。自分たちの商品がどれだけのお客様を生んで、かつどんな価値を感じてくださっているのか。それらを深く知ることで、プロダクトの社会に対する必要性や、石鹸を通じて社会にどんな貢献ができているのかを、ドラッカー経営を実践することでみんなが理解してくれました。

今成 つい2年前までは、お客様と直接お会いしてお話を聞くことに戸惑いや苦手意識を持っていた社員さんも多かったのですが、今はもう「わからないことがあればお客様に聞こう」という考え方に変わりましたよね。

野田 そうですね。お客様の声を聞くことの本質的な意味を理解しているかが重要なんですよね。そこを私自身が伝えきれていなかったのですが、ドラッカーという「型」があることで伝えやすくなりました。ドラッカー経営の『5つの質問』から『8つの目標※2』を通じて考えていくプロセスがP.G.C.D.にすごくフィットしたと思っています。

今成 どの会社にも経営理念や使命はありますが、極端な話、「本音と建前は異なる」というところもあるでしょう。でも、それは違うんですよね。企業は顧客を創造することでお金が生まれ、利益を得ている。だからこそ、お客様の声を聞くことと、自分の仕事は繋がっていると言えます。しかし、「この商品は素晴らしい」と言うお客様がいる一方で、そうではないお客様もいる場合、自分たちはどうするべきか。さまざまな決断に迫られたり、仕事の仕方を変えたりする必要が出てきます。誰かに貢献した結果、利益を得ようとすると、いい加減な仕事では許されないんですよね。

野田 そうですね。ある意味、とても厳しい道を行くことでもあるんですよね。

今成 実は、基本的に私たち人間は「変わる」ことが怖いんです。でも、お客様に貢献するとか、自分たちの価値をもっともっと高めていこうとすると、変わらざるを得ない。そこが、本当に厳しい課題だと思います。

※2【8つの目標】事業を行うにあたって、目標を設定する必要がある。企業の存続における重要な分野として、ドラッカーは8つの分野を挙げ、それぞれに目標が必要であると説いている。               1)マーケティング目標 2)イノベーション目標 3)人的資源目標 4)資金目標 5)資源目標 6)生産性目標 7)社会的責任目標 8)利益目標

これからのビジョンとは?P.G.C.D.への期待とは?

JBIGとP.G.C.D.のプロダクトの価値

JBIGとP.G.C.D.のプロダクトの価値

野田 自分たちの価値を高めるためには最初から「使命」や「なぜこの会社に集まっているのか」という考えを持っておくべきなんですよね。私たちはお客様のご購入からお金を得て、利益を出して生活しているので、しっかりと「問い」やお客様に向き合って取り組むことが重要。そうすることで、結果的に社会に貢献する大きな組織であり、企業になれると思っています。お客様の中には、石鹸を通じて世の中に発信している価値観や社会貢献に共感してくださる方もいます。例えば、シャンプーの石鹸の場合、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、全部一つになっています。日本の家庭は平均3.6本のボトルが浴室に並ぶのですが、これは3.6回水を流していることになるんです。でも、私たちはそれを固形石鹸1個で済ませるんです。そうすると、使用する水の量も減るし、さらにペット樹脂のボトルも発生しないんです。私たちのプロダクトというのは、すべてを「シンプル」にしてくれるんですよ。世界中の人たちが私たちの石鹸を使ってくれれば、今世界中で話題になっている環境問題も解決できるんです。

今成 野田さんと最初お話をした時の使命やイノベーションですね。

野田 そうです。私には将来の夢があります。過去に「世界を救った石鹸」があるんです。「ホープソープ」、『希望の石鹸』です。地球上には10歳以下の子どもの死亡数が毎年数千人を超える国が未だにたくさんあります。その原因はバイ菌による感染症です。それを解決するために渡されたのが「ホープソープ」。透明な石鹸の中にキティちゃんや車のおもちゃが入ってるんです。そんな石鹸を渡されたら子ども達は手だけじゃなくて身体中洗いますよね。その結果、子どもの発病数は70%、呼吸器感染数は75%も減った。。石鹸が世界を救ったんです。僕はそんな「ホープソープ」を超えたい。「人も地球も美しく」する私たちの価値を社会に提供したい。私たちの『希望の石鹸』で世界を、社会を変えたいんです。

今成 野田さんはビジョンや夢やプロダクトに対して、本当に正直に向き合ってらっしゃいますよね。それを感じられるからこそ、私でできることならばぜひ付き合いと思います。

野田 ありがとうございます。多様な時代だからこそ、商品やドラッカー経営を通して、JBIGとP.G.C.D.の価値観や生き方を発信し、お客様や社員、たくさんの方に共感してもらえたらと思っています。

「顧客の創造」のために変わり続ける

「顧客の創造」のために変わり続ける

野田 ドラッカー経営を取り入れてから、メンバーのみんなが「お客様のため」を軸にした考え方に変わったと感じています。そんなメンバーたちが会社を支えてくれているし、たくさん育ってきたことを頼もしく思います。今後、ホールディングス化をしたことで、この会社からもっと多くのリーダーが生まれて、さらに大きな成果を出して社会に貢献できるのではという、期待と希望を持っています。大きな成果を出すためには、みんなで貢献しあわなければならない。ドラッカーの言う「顧客の創造」、「貢献」に対して向き合える人、JBIGの使命に共感し、熱狂的になれる人が集まらない限り、みんなで協力して成果を出すことはできませんよね。

今成 経営者がどんなに理念や使命、自分の考えを語っても、受け手である社員は時に迷うことがあると思うんです。世の中の常識や周囲の意見と照らし合わせたとき、何が正しいのか、どれが真実なのかわからないこともある。「こっちが正しい道だ」とわかっていても、実際は違ったと言う場合もあるし、あるいは裏表があるかもしれない。その中で、会社や事業を本当に「信じ切る」のは容易なことではないと思います。でも、迷いが生じたとき、その迷いを解消してくれるのがお客様であり、社会でありと言うことが理解できると、確信を持って進められるんじゃないでしょうか。

野田 迷ったときはやっぱり、ドラッカーの『5つの質問』に戻るんですよね。

今成 そうです。ただ、さまざまな道がありますから、自分たちに合う道をたどって頂上を目指すことが必要だと思います。JBIG、そしてP.G.C.D.はもっと変われるし、成長していける。それを信じて変わり続けて欲しいです。まだまだみなさんは可能性に満ちていて、これから伸びる方も大勢いらっしゃるので。

野田 環境の変化合わせて、私たちも絶えず変わり続けること、努力し続けることが必要ですよね。お客様がずっとP.G.C.D.のお客様であり続けていただくために、私たちは顧客を創造し続けなければならない。その中で商品を通じて社会貢献を実現することができるのであれば、そこに私たちは喜びや幸せを感じられるんです。この想いに共感してくれる人を増やして、世界中から応援してもらえるような企業、ブランドになりたいです。

今成 今の若い人たちは私が小さい頃に比べて、働くことに夢が持てない、喜びを感じられないという方が結構多い気がします。将来に対して不安な気持ちや怖いという気持ちを持っているんでしょうね。でも、そうではなく楽しみとか明るさ、希望とか夢、そんな風に前向きに生きていけることを示せる企業が1社でも多くなればと思います。野田さんには、働くこと、生きることを含めた事業というものすべてを、高めていっていただきたい。もっと言えば、20代や10代の若い人たちが「働くって素敵なことだね」「JBIGやP.G.C.D.で働きたい」といってもらえるような会社になって欲しいと思っています。

野田 そうなれるように頑張ります!

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