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「見るだけで、実は文化を守ってる!?」【知って深まる、近くなる。アートの見方が変わる120分ダイジェスト】

Respect the Artist 竹村 京×P.G.C.D.代表 野田 泰平[トークセッション アフターレポート第二回]

秋も深まる9月29日(木)の夜、Respect the Artist 竹村 京氏とP.G.C.D.代表 野田 泰平による「美」と「アート」をテーマにした第2回トークセッションが行われました。
「アートって何だろう?」「正しい見方はありますか?」そんな疑問に答えるような、アートの見方や、アートが持つ力について、深く踏み込んだ時間となりました。

<Introduction>
JBIG meets Art galleryはどんな場所?

P.G.C.D.代表 野田 泰平(以下、P.G.C.D.野田):お客様とブランドの相互の関係だけではなく、お客様とブランド、そして何か社会との三角形が、昔であれば“三方良し”のような言葉があったと思うんですけど、その形を現代に何かデザインすることができないだろうかという思いが、ずっとありました。

アートは怖い?アートのいちばんの楽しみって何だろう

P.G.C.D.野田:僕たちのお客様たちに、アートに関するいろんなインタビューやアンケートをさせていただいたときに、衝撃的だったのが、「アートを買うのは怖い」とか「アートの見方がわかりません」というようなお声だったんですよね。

アートのいちばんの楽しみって、僕が思っているのは、本当に美術館に行くだけで、自分の美意識とか、美的価値感をはっきりと、白黒じゃないですけど、「私はこっちが好き」、「私は、こっちはちょっと苦手かも」と、ただそれを発見することができる。
アートっていうのは、本当に素晴らしいものではないかなというふうに思っています。

今日はいろんな写真とかも見ながら、アートの見方に関していろんなお話しができたらいいなと思っております。ぜひお楽しみいただけたらなと思いますので、2時間よろしくお願いいたします。

<Section1>
夏に開催した竹村氏のワークショップについて

P.G.C.D.野田:京さんとは対談2回目になるんですけれど、実はここでイベントを開いていただきまして。もしよろしければその時の話も。お話ししていただけたら嬉しいです。

竹村 京氏(以下敬称略。竹村):はい。修復されたっていうシリーズがあるんですけど、ワークショップでは、壊れてしまったけれど取っておきたいなっていうものが、もしある人がいたら持ってきてくださいというお話で、させていただいたんですね。私がいつも使っている素材をそのまま使ってもらって。

竹村:作品へのアプローチの仕方っていうのは、それぞれの人たちのできることからコツコツとなんですよね。アートってそれしかできなくって、どうやって生きてきたとかそういう事になって。何をやりたいかっていうのが見えてさえいれば、いろんな人間の人生ってそれぞれの道がオリジナルで、面白いものになると私は思っています。

現代美術に何かあるとしたら、私たちの人生の中で共通言語が見つかるとか、いつもの自分ではないものが見つかったりとか。ちょっと違うベクトルで物が見えている状態を見れたときに、何か得るものがあったりとか。やっぱりアートは救いの場だと思ってるんですよねぇ。

P.G.C.D.野田:ほんとうに、やっぱりその人の想いが、アートというものにはすごく詰まるものだと思っていて。見方がいいとか悪いというものじゃなくて、まずはそのアーティストさんたちの、作り手の想いがどこにあるのかということをすごく感じますね。

現代アートというのは特にそれが色濃くて。その方たちがまだご存命だっていうこともありますし、過去の作品も見れれば、今の作品だけではなく、その10年後の作品も見ることができる。その想いを共感できたり一緒に共有したりできるっていうのが、現代アートのよさであり、見方というよりも、そこを感じるっていうことが大事なのかなあと思います。

竹村:生きている皆さんが文化を守っているという事を本当に知っていただきたいんですよね。やっぱり皆さんが見ているものが結局DNAに残っていくわけですよ。それが次の世代に何かしらの形で残って繋がっていくわけです。

<Section2>
アートは時代の文脈を繋いでいる?印象派時代のアートとは?

P.G.C.D.野田:印象派の人たちのアート、モネとかゴッホの絵を見たときに、僕が感じたことがあって。これは写真で撮っているものなんですけど、大きくしていくと、『あれ?なんか、今の若い人たちのアートってここから進化してないんじゃないかな?』と、ちょっと思ったりとか…。写真を拡大したときのゴッホの線を見てみると、今の人たちでもよく見る線だよなあと思って。これは何かを紡いでるのだろうかと。僕の中でモヤモヤしてしまっています…。

竹村:おっしゃっているのは筆致(筆のタッチ、どういうふうに描くか)の話になっちゃうんですけど。この人たちってまあ超絶有名人ですし、筆致で有名な人たちなんですよね。そして、これはこの人たちの前には誰もやっていないんですよ。

竹村:アートってその時代に何をしたら、今を掴めるかっていうのをずっとやってきたことなんですよね。どの言語でできるかっていうのが、たまたまこの時代は油絵の素材に絞られていたので、油絵でやっていたっていうこと。

だから、どんどん密度も濃くなるし問題意識もものすごく…。だってヨーロッパ中の人たちが油絵しか描いてなかったわけですから。そのやり方っていうのに幅がなかったがゆえに、こういうオリジナリティが生まれる素地があったんですよね。

もちろん日本に帰ってきたりした暁には、当然そのマネのものしか見ていないので、最近見た人たちがこれに似ているのは当然の帰結なんですね。というのも、油絵の扱い方というのを私たちは大学で習う。で、こういうふうに描けるというのを習い、色の価値とか黒の前に白を置いたら目立つよとか、混じっちゃったら目立たないよとか。

<Section3>
アートが町を救う!アートが持つ力、可能性、未来とは。

P.G.C.D.野田:もうひとつテーマを持ってきたのが「直島」なんですよ。アートの在り方って、町を起こしたりとか、それがあることで人を惹きつけたりとか人を幸せにしたり…。

竹村:私が関わっている市原市の小学校も山の上にあって。小学生になる子たちがいる年代は住んでいないから、廃校になってしまって、アートスペースになっているんですけど…。やっぱり、そこに住んでいるおじいちゃん、おばあちゃんたちは、自分たちが使っていたところだから、変な風に使われるのは絶対イヤだと思うんですよね。

そこで、私たちがコミュニケーションをとることによって、守りながら何か使い道があるような、風を通してやるというか。アートによってやることで、そこにフォーカスが当たるんですよね。

閉まっちゃった小学校は、壊しちゃったものと同じなんです。そこにもう一回、アートによって風が通り、サイクルに乗る事ができる。アートには、そういう力があると思うんですよねぇ。

~参加者の方からのご質問~

<Question>
現代アートは難しいですか?アートの入門には昔の作品から見た方がいい?

竹村:私は今、西洋美術館を強くオススメしますね。西洋美術館は日本人のコレクターが日本のアーティストがちゃんと育つために作品を買って見せているものなんですよね。それが現代美術にもつながっているので…。

P.G.C.D.野田:僕はスタジオビジット。今のアーティストさんのスタジオに行くことなんですけど、どんな気持ちでアートに向き合っているのかがすごい見えるわけですよね。

<Question>
日本とヨーロッパの現代美術への認識は違いますか?

竹村:めちゃくちゃ違いますね。アートを買うという話を簡単にしてしまうと、海外の方の方が割と敷居が低いんですね。買って保護してやろうという話になる。文化を守るっていうか、今生きている子たちを守る感覚が強いんですよね。だからこそ廃れない。

何かきっかけがないと、日本人が現代アートにリーチするのは難しいかもしれないですよね。教育の問題もあるかもしれないですけど、私たちが知っている美意識に沿った美術が発展していかないとと思いますね。

P.G.C.D.野田:別に高いものを持つという事ではなくて、自分の感性であったりとか、自分の生活を豊かにしてくれるとか、まず自分の気持ちが大事かなと。
もしくは、そんなに頑張っている学生がいるんだったら、応援してあげよう!みたいな。そんな想いからスタートでもいいのかもしれませんね。

竹村:そう。家にいないで、外に出ようという話ですよね。もったいない。

P.G.C.D.野田:7月から、京さんの展覧会を開催させていただいて、ここでいろんなお話や体験をさせていただけて、本当に感謝しています。本当に素晴らしい展覧会をありがとうございました!!

ご参加いただいたお客様のお声をご紹介

夏にこちらへ伺い、展示を拝見したのがきっかけです。
イベントのお話から始まり、京さんの頭と心の内をお聞きして、新しい刺激や発見がありました。こわす、こわれてしまったものは衝撃、捨てられないぎりぎりの所、という言葉わかるなーと思いました。(M・I様)

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おふたりのアツいトーク、ものすごくひきこまれておもしろかったです。アートをみることはかまえなくてよいとあらためて教えて下さり感謝。まずは西洋美術館に行きたいです。
もっと日本でも若い人たち、子供たちが身近にアートを感じて感性を育てていけたらいいなー。(M・T様)


アーテイスト竹村氏ならではの視点から、「実は、アートを見ているだけで私たちは文化を守っている」という、アートの流れとともに時代と未来の文脈の中にいることを感じられた120分でした。
P.G.C.D.では、今後もアートに関するさまざまな取り組みを行っていく予定です。
これからも、P.G.C.D.とのアートを通して自分だけの美しさを探す旅にご期待ください。

第一回トークセッションアフターレポートはこちら▼


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