現在の危機を乗り越える7つの方針
新型コロナウイルスの影響で、誰も予想しえなかった状況に世界が陥っています。僕たちの会社も例外ではなく、社内スタッフにも不安が広がっていました。
そんな中で、5月1日に僕は社内スタッフ向けに少し長いメッセージを送ったのです。それを、このnoteでも紹介したいと思います。
P.G.C.D.は、お客様に石鹸を中心としたスキンケアやスカルプケアの商品をお届けしています。「化粧品」というカテゴリーだけで考えるなら、なくても生きていけるものなのかもしれません。ただ、僕たちはお客様との関係をもっと深いものとして構築してきたつもりです。
朝と夜、毎日石鹸を泡立てて肌をいたわり、「おはよう」や「おやすみ」を感じられる商品。毎日触れ合う商品だからこそ、お客様に商品をお届けすることは、お客様の生活を支えるインフラであるとすら感じています。お客様の中には「P.G.C.D.の商品は、もう私の体の一部です」と言ってくださる方もいるほどなのです。
この時代でも、むしろこの時代だからこそ、我々の姿勢を明確にして発信していきたいと強く思います。僕たちP.G.C.Dは、次のような信念をもって事業に取り組んでいきます。
1.従業員、仕事、組織、お客様とのインフラを守る
事業を長期的視野で継続するためには、従業員を守ることは不可欠。ただし、現在の危機的状況において、それだけでは不十分だろう。職場の安全対策や働き方の変化について、こまめに、そして明確に伝達し、スタッフとコミュニケーションをとっていく。
また、厳密な衛生管理を遂行する。商品の梱包や配送の際にも、ワークフローでの管理を徹底し、従業員や顧客を守る仕事を安全に行えるようにする。
2.手元資金の確保
緊急事態にも事業を継続するためには、手元資金を確保する必要がある。
支出を精査して、削除できる分野を細かくリストアップしたのち、キャッシュを確保する。また、政府や自治体による支援策を利用しつつ、内部留保を厚くして財務状態の健全化を図る。今後に備え、商品仕入れ、顧客、従業員の雇用を守る。
3.在庫管理
在庫の棚卸を実施し、粗利の最大化や運転資金確保のためにやるべきことを洗い出す。それにより、サプライチェーンとの関係強化を考えるヒントを得て、改善を行う。
棚卸した在庫商品すべての使用期限を確認し、資材は別途振り分ける。保管スペースの確認も怠らない。
商品を補充する際には、サプライチェーンの変動を考慮すること。また、調達や製造などの上流部門は、発注量の減少あるいは増加により、平時ではない状況に直面する可能性を念頭に置いておくこと。
取引先のためにも、まとめて発注する、支払いの連絡を明確にしておくといったサポートも検討する。大切なことはお客様にお届けする我々の大切な商品を絶やさないことだ。
4.広告ROIの向上とデータドリブンの推進
消費動向が変化していくため、マス広告費の価格変動をとらえる。そして、マーケティング戦略やクリエイティブを見直し、新規のお客様との接触を増やしていく。
今後は、世界中でデジタル化が一層加速することが予想される。ブランディングだけでなく、お客様との関係を強固にしていくための施策を重ねていく。これを機にデータドリブンを推進しデジタルマーケティングをより活性化させ、よりたくさんのお客様にファンになっていただく。
5.顧客とのつながりを強化
お客様とのコミュニケーションをただ維持するのではなく、我々のブランドらしさや誠実さを伝える努力を続ける。シンプルな生活の重要性についても丁寧に伝えていく。
「こうした危機的状況でも、P.G.C.D.の石鹸が喜びをもたらしてくれる」
このようにおっしゃってくれるお客様のエピソード。それらを大切にし、コミュニティの醸成に力を注いでいく。個別にカスタマイズしたメッセージングをするとともに、コアなファンの方には新商品や限定品をいち早く入手していただける特典など、よりご満足いただけるような施策にも力を入れていく。
6.中期的な戦略
テレワーク、交通規制、旅行やイベントの自粛や延期がしばらく続くことが予想されるため、調達や製造に大きな影響が出る。さらに、東京の地価が20%近く下がるという予想も出ている。
これを利益体質へのチャンスととらえ、固定費の削減などに取り組んでいく。さらにリモートワークとデスクワークのハイブリッドな働き方を導入し、オフィスの費用対効果を上げ、お客様サービスと満足度向上に還元していく。
それに伴い、会社のカルチャーづくりにも変革が必要となるだろう。いつもオフィスにいて、隣にメンバーがいることが当たり前ではなくなるからだ。仲間との信頼を構築しながら、生産性や成果を上げるための連携が必須。これらを支えるために、カルチャー育成プログラムの改定が必要となる。
7.長期的な展望
With コロナ、After コロナの世界。
事態が収束した後の市場ニーズを的確に捉えられれば、今後の事業を運営していく方向性が自ずと見えてくる。
まず、今回のコロナで日本の死者数が少ない事実がある。それが日本のブランド化、差別化に新たな視点をもたらす。
詳細はこれから明らかになることだが、日本はコロナにも強い文化を持っている可能性がある。それを強みと捉え、日本の文化をブランディングして商品開発していくことが有効だろう。日本で当たり前のウォシュレットやウエットティッシュ、お辞儀(ノーハグ)、室内では靴を脱ぐといった清潔感のある生活から生まれるブランドイメージ。オーセンティックジャパン(本物の日本ブランド)として、堂々としたブランディングに取り組んでいく。
さらに、波に乗る(Catch the wave)準備を始める。波に乗れる人は、たまたま運があった人ではない。普段から心や技術、体力を鍛える努力を惜しまず準備していた人だけが、来た波をとらえる機会をものすることができるのだ。準備のない人は波に飲み込まれてしまう。
組織文化を育て、いい人と巡り合い、キャッシュを保持し、アセットを積み上げていく。さらに余裕があれば、他社との協力体制を築いていくことも考えたい。
聞き手、構成協力:栃尾江美