見出し画像

小さな恩返しプロジェクト

新型コロナウイルスによる世界的な混乱のさなかにあった2020年7月、P.G.C.D.が10周年を迎えました。お客様からいただいた記念メッセージには、P.G.C.D.への愛がたくさん詰まった数々のストーリーが綴られていました。僕たちはお客様からの大切なメッセージを読みながら涙したと共に、あらためて僕たちとP.G.C.D.ブランドの存在意義を教えていただく幸せな時間を過ごすことができたのです。

一方でコロナ禍による経済的理由で、商品の継続を断念されるご連絡が増えました。これから先の10年を見据えたとき、お客様と「あのときがあったから、今がある」と笑い合えるように、僕たちが始めた“小さな恩返しプロジェクト”についてお話したいと思います。

ロゴ1


20年後の笑顔を想像して始めた“小さな恩返しプロジェクト”

新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が解除されてから2ヶ月後の7月。お客様が商品継続を断念するというご連絡が少しずつ増え、コロナ禍の影響を肌で感じるようになった。

そんな中、少しでも明るいニュースを伝えたいと、P.G.C.D.の10周年をお祝いムードで盛り上げようとしていた。ところが僕は、心に何か引っかかるものを感じていた。

これから先を思案するミーティングの最中、僕は水を差すような形でスタッフに切り出した。

悪い言い方ではあるが、世間では金融機関のことを“晴れているときに傘を貸し、雨が降ると傘を奪う”と揶揄することがある。僕たちも今、雨の日にお客様の傘を奪い取ろうとしているのではないだろうか。

コロナ禍で商品継続が難しいお客様のお問い合わせを、「はいわかりました」とお受けしてしまって良いのか。これから先の10年、20年を見据えて頑張ろうと話し合っているけれど、それは、お客様あってのものであるはずだ。

コロナによる混乱のなかでも、「あのときP.G.C.D.さんがこういうことをしてくれたから、私はがんばれた」と、10年経ったあともお客様の記憶に残ることをすべきではないのか。

僕がそう話すと、それまで忙しそうにしていたスタッフたちが頷きながら「そういうことは、すごく大切だ」と理解を示してくれた。こうして出たアイデアが、“小さな恩返しプロジェクト”だ。

画像1

傷ついた商品未満の石鹸を無料で、困っているお客様のもとへ届けたい

石鹸はとてもやわらかく繊細だ。爪があたったり、輸送中に擦れるだけで小さな傷がつく。通常、1回使うだけでその傷は消える。しかし僕たちは、お客様のもとへ石鹸が届いたときの、「これから新しい毎日が始まる」「この石鹸で私は変われる」といった期待感を大切にしたい。そのため、品質に問題がなくても小さな傷があれば不良品として処理するよう、厳しい検品を行っている。

この傷ついた石鹸を使ってはどうかとスタッフから提案を受けた。本来ならば世に出さない“商品未満”のものだが、品質は商品と同じ。これを、コロナによって継続が難しいお客様にお渡しするというアイデアだ。

素晴らしい。ぜひやろう! とスタートし、このお手紙を用意した 。

画像2

初めての試み。不安を一掃したお客様の言葉

このプロジェクトを社内で発表したあと、さまざまな不安の声を耳にした。

「転売する人が出てくるのではないか」
「配布することで売上に影響するのではないか」

そんなことよりも、僕には最も不安に思っていることがあった。それは、大切なお客様に「傷ついた石鹸を配るなんて、傲慢で失礼」と思われることだ。

そういった不安を一掃し、プロジェクト実施に踏み切れたのは10月に京都の妙心寺で開催したお客様とのお茶会のおかげだ。参加されたお客様にお手紙をお見せしながら、「お叱りを受けたり、失礼なことがあってはいけないと思って……、まだ送っていないのです」と、ご意見を請うたのだ。

「もし、野田さんがされることを偽善と言う人がいるなら、言わせておけばいいと思います。私たちが、P.G.C.D.を守りますから」

その言葉に背中を押され、お手紙を送ることを決意した。妙心寺という神聖な場だったためか、洗練された空気のなか、お客様たちが神々しく見えた。

コラージュ

お客様と、スタッフとともに、この難局を乗り越えたい

10月初旬にお手紙の返信が届き始め、すでに2000件近い応募をいただいている。

それほどの反響があるとは思わず、スタッフ総出で準備を進めている。10周年という節目に起きたコロナ禍に立ち向かい、お客様の力に少しでもなることは、僕らが今やるべきことだと社員全員が認識しているのだ。

実は、プロジェクトの応募ページには「応援する」ボタンを設けた。これも、妙心寺でのお茶会で、ひとりのお客様から言われたことがきっかけだ。

「私は幸いにも経済的な影響は受けていません。でも、野田さんの活動を応援したい。この気持ちは、どう表現したらよいでしょう?」

僕は困っている方の気持ちしか考えておらず、それ以外の方の想いまで想像できていなかった。ありがたいご意見を社内へ持ち帰り、「石鹸を受け取る権利を放棄して困っている方へ譲り、応援メッセージを届ける」という趣旨の「応援する」ボタンを設置した。すでに多くの方から応援メッセージが届いている。

その一部をご紹介させていただこうと思う。

コロナ禍で生活に不安がある中で、とても心温まる素敵なプロジェクトだと思いました。本当に必要な方に石鹸が届くことを願っています。
突然のコロナ禍、どの世代の人もみんな大変な状況になっています。
いつ終わるのか、分からぬ不安に押しつぶされそうになりながら送る毎日。
そんな時でも、いつもの香りに包まれるだけで、気持ちが前向きになります。
私にとっては、懐かしさと同時にとても癒されます。この時期に、このような企画を立ち上げてくださり、本当にありがとうございます。みなさん、お互いにがんばりましょう。

この活動に対してとても丁寧に、お客様のために向き合っているスタッフ。この活動に共感し無償で協力いただいた外部パートナーの方々。そして、様々な思いでP.G.C.D.と向き合うお客様。そんな方々の協力がなければ、このプロジェクトは成り立たない。

この活動に携わる全ての方に心から感謝を伝え、今できる最善を尽くしたい。

聞き手:栃尾江美
構成協力:ふじねまゆこ

スキありがとうございます!
17
JBIG代表・野田のアカウントです。スキンケアメーカーの経営者として、「美しくなる習慣を創造する」デザインアントレプレナーとして、自身の考えや気づきを発信しています。noteマガジン『野田ラボ』など週1回のペースで更新。剣道とスキーとダイビングは人生をかけた好きなこと。