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代表的な「シミ」には5つも種類が!【それぞれの特徴と見分け方は?】

麻布十番えむスキンクリニック院長 沼尾真美×P.G.C.D.代表 野田 泰平[パート2]
年齢を重ねたお肌にとって、代表的な悩みのひとつが「シミ」。ひとことで「シミ」といっても、原因や症状によって、おおむね5種類に分けられるそう。
麻布十番えむスキンクリニック院長の沼尾真美先生との対談第2回目は、シミの種類と違いなどを伺っていきます。それぞれ「治療のしやすさ」も違うので、参考にしてみてください。
(対談のパート1はこちら

【対談者プロフィール】
麻布十番 えむスキンクリニック 院長
沼尾 真美
香川県出身。2006年香川大学医学部卒業。高松赤十字病院、三豊総合病院、皮膚科・形成外科勤務を経て、2012年より都内美容外科、美容皮膚科に勤務し、主に再生医療に従事、院長を務める。2020年麻布十番えむスキンクリニックを開設。「治療の先に笑顔と幸せを」信条に、その方本来の魅力を引き出すことを心がけている。
https://www.azabu10-mskinclinic.com/

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株式会社 ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン 代表取締役CEO
野田 泰平
1979年福岡県生まれ。2010年に株式会社P.G.C.D. JAPANを設立。「年齢を美しさに変える人」を増やすため、スキンケア・スカルプケアの商品を開発、販売。また、2019年にはホールディングス会社である株式会社JBI GROUPを設立。企業理念『Pay forward』を掲げ、“世界を幸せにする人を増やす”という使命のもと、サスティナブルな商品、サスティナブルな事業を創造し、社会と未来に貢献する。

美しい肌とは、ムラや凹凸がなく均一な肌

野田泰平(以下、野田)
パート1では再生医療などについてお伺いしました。パート2の最初に改めて、沼尾先生の考える美しい肌とはどんなものか、教えていただけますか。
沼尾真美(以下、沼尾)
日本では、白い肌がきれいに見えるとされていますが、色よりもムラのない状態が美しい肌だと思います。場所による色の違いや凹凸がなく、均一で光をきれいに反射するきめの整った肌がいいですね。
アジアの方は、シワはもちろん凹みやふくらみを好まず、卵みたいなつるっとした肌を好みます。子どもに見るような肌をよいと思う感覚があるのではないでしょうか。
野田
今回お話を伺うテーマは、肌の色ムラを作ってしまう「シミ」です。先生のクリニックでシミに悩んでいる方はどれくらいの割合でいらっしゃいますか?
沼尾
美容医療に初めていらっしゃる方は、ほとんどがシミにお悩みです。家族に指摘されたり、友だちに「取れるよ」と言われたり。入り口として一番多いんです。
代表的なシミは5種類。もっとも一般的なものは老人性色素斑

野田
シミについて詳しく教えていただきたいです。まず、種類がいくつかあるのでしょうか。

沼尾
ひとことで「シミ」といっても、いろいろあります。多くの方が「シミ」と呼ぶのはこの一覧の一番上「老人性色素斑」で、半分ほどの方が対象です。
野田
「老人性」という名前が嫌ですね。
沼尾
若い方に言いづらいんですよ。いつも「ちょっと名前が……すみません」と言いながら説明します。ただ、代謝が落ちることに原因があり、結局は加齢によるものなので老人という名称になったのでしょうね。
2つ目の「肝斑」は、昔に比べると多くの女性がご存じですね。
野田
ここ20年くらいで耳にし始めて、一気に広がりました。
沼尾
CMやネットでよく見ますよね。診断前に「私、肝斑なんです」とクリニックにいらっしゃる方も多いです。
野田
肝斑はなんだか不思議ですよね。必ず左右両方にある。肝斑を疑う人は、たいていそのとおりなのでしょうか。
沼尾
程度の差はありますが、日本人の半分くらいの方は肝斑があると言われています。アジア人の肌の特徴と言えるかもしれません。メラニンを作っている構造に原因があると言われていますが、さまざまな理由で悪化するため、はっきりとした原因はわかっていないのです。
野田
老人性色素斑と肝斑は、クリニックに行けば判別できるのでしょうか。
沼尾
そうですね。多くの方は両方あり、その場合は少し治療が複雑になります。できるメカニズムが異なるので、治療も違うのです。
老人性色素斑は、例えはよくないかもしれませんが、がん細胞のようなもので、取れば終わります。一方、肝斑は例えて言うと生活習慣病のようなもので、ある程度の年齢になるまでは良くなったり悪くなったりしならがお付き合いしていく場合が多いですね。完全に治すのは、ちょっと時間とお金がかかります。
わかりやすく言うと、「老人性色素斑と肝斑」は「疾患と病態」のような違いがあります。
野田
とはいえ、両方とも代謝の悪さが根っこにあるのではないのでしょうか?
沼尾
老人性色素斑は、確かに代謝が原因です。肝斑も代謝は関係していますが、代謝が追い付かないくらいに次々とつくられる状態なので、作る過程をブロックしてあげないといけない。いくら代謝を良くしても、それだけで治すのは難しいんです。
野田
代謝が追い付かないくらい作られる状態に、生活習慣や外的要因などが関わってくるのですね。
その次は、「雀卵斑(そばかす)」です。
沼尾
そばかすは比較的わかりやすいです。中学生くらいの若い時期から、目の下にパラパラとできます。
野田
老人性色素斑とどう違うのですか。
沼尾
メラニンというシミの元が過剰にある、という点では同じですが、そばかすは代謝に関係なく、遺伝などの要因により過剰にできてしまうんです。また、老人性色素斑よりそばかすの方が皮膚の浅いところにできるので、治療の反応はいい。ただ、再発しやすいですね。
野田
若いころにできるということは、年齢を重ねたら減ってきたりするのですか?
沼尾
うーん。あまり変わらないような気がします。治療の反応はいいので、何度か治療すればきれいに取れる場合が多いですよ。
次は、「炎症後色素沈着」です。これは、ニキビ跡や傷などが、赤みを通り越して茶色くなってしまったもの。代謝がよければ時間とともによくなりますが、年齢を重ねていたり、炎症の期間が長かったりすると、深く、取れにくくなります。
野田
背中や方が日焼けしすぎた場合のシミも、炎症後色素沈着ですか?
沼尾
その場合、多くは老人性色素斑でしょう。ただ、ヤケドするほどなら炎症後色素沈着になる場合もあります。シミの境界がはっきりしている老人性色素斑に対して、炎症後色素沈着はハケですったようなボヤっとした色の残り方です。
野田
最後にあるのは、「ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)」ですね。これはどのようなものですか?
沼尾
あまり知られていませんが、ADMの方は意外といらっしゃいます。私も20歳過ぎの頃にあり、勉強不足で知識がなく、一生懸命メイクで隠していました。
これまで紹介したシミはすべて肌の表面の浅い部分にできますが、ADMは真皮の部分にあるため、一般的なシミ治療では取れません。ただ、真皮まで届くレーザー治療ならしっかり効くので治せます。
野田
ADMはなぜできるのでしょうか。
沼尾
原因は、わかっていないんです。
野田
見た目の特徴はありますか?
沼尾
現れるのは肝斑と同じような場所や鼻の横など。また、表皮より下の層にあるので、ほかのシミとは色が異なります。青みがかかった色や、グレーっぽい色に見えます。
治しやすいシミと、治しにくいシミ
野田
これまでのお話を聞くと、シミによって「治しやすい」「治しにくい」がありそうですね。
沼尾
シミの治療はすべてメラニンに関わります。メラニンを破壊し、外に出していきますが、期間の短いものやお金のかからないものを「治しやすい」と考えます。再発するとお金がかかるので、「治しにくい」と言えますね。また、複数のシミが混ざっている人も多く、すべて治そうとするとちょっと大変です。一番気になる部分をお伺いして、取りやすいものから取っていくとモチベーションがあがりますよね。
野田
この中で、簡単な順に並べるとすると、どうなりますか?
沼尾
そうですね。そばかすは若い方が多いので、治療に対する反応もいいし、他のシミが混ざっていないので治しやすいと思います。
老人性色素斑は大きさと数にもよりますが、わかりやすくポンポンとあるならきれいに取れます。
ADMはしっかり治せるのですが、半年から1年ほどかけた複数回の治療が必要。時間とお金がある程度はかかります。
炎症後色素沈着は、人によって個人差があり、治療をせずともよくなっていく場合が多いです。ただ、色味によっては時間がかかります。
肝斑は……やはり一番厄介だと思います。悪化する原因がいろいろとあり、それがいくつも重なると治療をしてもまた出てきます。
野田
なるほど。シミの状態や原因、治療についてずいぶん知識が増えました。では、次回はシミのケアについてお伺いしていきたいと思います。ありがとうございました。
沼尾
ありがとうございました。
執筆:栃尾 江美
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