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【コレクターが語る!】これからのアートの可能性とは?

【ART PROJECT with P.G.C.D.特別企画】
古賀 徹×P.G.C.D.代表 野田 泰平[パート3]
アートを通して自分の美的価値観を発見し、新しい自分に出会う『ART PROJECT with P.G.C.D.』。
2023年6月23日まで、JBIG meets Art galleryではP.G.C.D.代表 野田泰平が所有するアート作品を展示したコレクション展を開催。
展示作品をバックに行われた起業家でありアートコレクターでもある古賀徹氏と野田による対談の続きをお届けします。
前回(パート2)は、「起業家とアーティストの共通点」など、起業家同士ならではの視点での話となりました。
最後となるパート3では、「アートの可能性」というテーマからお話を伺っていきます。

【対談者プロフィール】
古賀 徹
2008年に株式会社MEJを設立しヘルスケアD2C事業で会員数55万人まで成長。2019年にM&Aを実施しユーグレナグループ入りを果たす。退任後は投資家として活動を続け、2020年より現代アートのコレクションを開始。

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株式会社 ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン 代表取締役CEO
野田 泰平
1979年福岡県生まれ。2010年に株式会社P.G.C.D. JAPANを設立。「年齢を美しさに変える人」を増やすため、スキンケア・スカルプケアの商品を開発、販売。また、2019年にはホールディングス会社である株式会社JBI GROUPを設立。企業理念『Pay forward』を掲げ、“世界を幸せにする人を増やす”という使命のもと、サスティナブルな商品、サスティナブルな事業を創造し、社会と未来に貢献する。

アートをもっと身近に。スターが生まれる土壌づくりを。

野田 泰平(以下、野田)
コレクターの古賀さんをお呼びしてのアート対談、最後となるパート3は、「アートの可能性」について話していきたいと思っています。
早速ですが、古賀さんはこれからのアートの可能性をどのように思っていますか?
古賀 徹(以下、古賀)
まず僕もコレクションをはじめたのがここ数年ですが、最近はアートがもっと身近に感じられるものが増えてきたなと思っています。
アートホテルですとか、パブリックアートですとか、 すごく身近なところにアートがあるようになってきた印象を受けます。
野田
それこそ再開発とかになると、パブリックアートなど必ずアートがあったりしますよね。
あと、近代美術館とか新しい美術館って、建築家とセットでアートが必ず配置されたりとかするので、機運としても感じますよね。
僕は、元々建築デザインを学んでいたので、建築も大好きなんです。その建築物のまわりにペインディングだけじゃなく彫刻も含めての現代アートがある。その関係がこれからより新しい形に生まれ変わろうとしている中にあると感じます。
建築でも、新しい素材とか新しい手法、建て方が日々進化しているのを感じています。
例えば、数年前にパリにオープンしたルイヴィトン財団の美術館が、世界的に有名な建築家のフランク・ゲーリーの作品なんです。
紙ナプキンにゲーリーがさらっと描いたようなスケッチが、そのまま形になっているような作品なんだけれど、こんなものが実現できるんだって技術進化を感じます。
同様に、現代アートもどんどん進化していると感じる。
アートの具材もものすごく進化していて、実際アート自体もすごい速度で成長をしていると思う。3Dプリンターを使ったアートもあるし、AIに描かせたアートをどれだけアートとして成立させるのかという取り組みをしている方もいる。
先日開催されたAFK(ARTISTS’ FAIR KYOTO)でも、3Dプリンターも含めて、コンピューターグラフィックとどう違うのか、みたいなアートがどんどん生まれてきてるところもあったので、作品自体の可能性も僕はすごく感じることがあります。なので、アートの成長性ってすごく幅広いと思っています。
でも大事なのは、アーティストにちゃんとスポットライトが当たって、アーティスト自身が輝くから、アーティストになりたいって人が増えるんだろうなと僕は思っていて。
パート2で話した資産運用としてのアートのような、税法的な部分や、アートのマーケットの仕組みの影響もあると思うんですけど。一方で、家にアートがある人たちが増えるってことも、子どもの感受性を育てることに繋がったりして、すごく大事だと思うんです。
今回開催する「花とお軸展」で、ギャラリーの地下フロアが「お軸」をテーマとしているんですけど、お軸って印象としては少し古いものって感じられていると思う。
けれど、現代アートと一緒になることによって、「ここに飾らなければならない」という決まりきったお軸から、色々な場所に飾れるようなものになってきていると思います。
もちろん、正式なお軸であり、正式な茶室の中での掛け軸でもあるんだけど、その一方で、自分の家の玄関に飾ると華やかでいいとか、廊下の壁にお軸があるだけで、自分の家の雰囲気変わるといった新しい楽しみ方もある。
パート1で話した現代アートとインテリアアートの違いに近いのかもしれないですけど、アートが与える生活の豊かさや感受性、子供への影響や教育、クリエイティブな発想など、そういったテーマを持つと、やっぱり家にアートがあるってすごく大事。
例えば野球選手が、子供の頃に父親とキャッチボールしたとか、少年野球でホームラン打ったあの感覚が忘れなくて野球好きになった、ということがあるように、アートに子供の頃から触れることで、アーティストスターが生まれる土壌が作られるし、少なからずヒーローを生み出して行くベースになるになるのかなって思います。
人生を豊かにする、アートが持つ可能性

野田
僕はアートのこれからの発展に事業を通じても貢献したいと思って、こういったギャラリーという形で、若手の現代アーティストたちの作品を飾らせてもらっています。
さらに、この先はP.G.C.D.のECサイトでも絵を購入できるようにしていきたいと考えています。P.G.C.D.の購入時に発行しているポイントでも、アートを買えるようになればいいなとも思っていて、僕たちがそれで利益を得るのではなく、お客様のポイントをそのままアーティストさんの支援にできたらいいなと思いますね。
もっというと、新しい形での「三方良し」のように、企業があって、お客様がいて、社会があって、その社会の中にアートっていうテーマを掲げたときに、この三角形をECを通じて作るっていうのは、ECの可能性につながるかなと思っています。
そのECの中で、スタジオビジット(アトリエ訪問)をして、アーティストが魂込めて作家活動をしている姿が見られたりとか、どういう思いでやっているのか紹介されていたりとか。
今はSNSもあって、模倣されやすい難しい時代でもある。でも一方で、発信しやすさは格段に良くなっていると思うし、もうネット決済でアートを買える時代ですよね。
トップランナーのアーティストには、僕達が貢献するのはまだ難しいけれども、裾野を広げていくっていう部分では、やれることも結構あるのかなと思っています。
今の話を聞いていただいて、古賀さんはどう思いますか?

古賀
歌うこと、踊ること、描くことが人間の3大表現と言われたりもしますが、アートというのは、人間の欲求を追求しているものの一つだなと思っています。
言葉では表せないぐらい複雑なものを表現しているのがアートだと思うんですけれども、最近は、それをより身近に、商品やパブリックアートやホテル、お店などいろんなところにアートが入ってきて、身近になってきたなと思うんです。
 
この人生というものを捉えた時に、僕は自己表現だと思っているんですが、それを再認識させてくれるような存在がアートなんじゃないかなって。
身近にそういうアートが増えて、自己表現に触れる機会が増えれば、もっと自分らしく生きられる人が増えるんじゃないでしょうか。例えば仕事の奴隷になってしまうような生き方じゃなくて、自分らしさや、自由な自分の幸せ、いろんなものを追求できる人生になるきっかけを作ってくれたりするんじゃないかなって感じています。

野田
素晴らしいですね。
今その話を聞いて、気づいたことがあって。「自分が何でアートが好きなの?」とか「なんでアートを買うときにドキドキすることがあるのかな」って思って。 今聞きながら、自己分析でよく使われる「ジョハリの窓※」を思い出しました。
自分が「開放の窓(open self)」の中に居るのか、それとも周囲に隠している「秘密の窓(hidden self)」の中にいるのか。この「hidden」の部分って、実は「忘れている窓」っていう風にも言われていて。その中には、忘れていたけれど自分にはすごく重要な背景や経験、思い出や価値観みたいなものが「忘れている窓」に入ってることが多くて。
アートを見たときに「なんでこのアートが好きなんだろう」とか、「なんでこのアートに対して魂が揺さぶられるんだろう」とか気になることがあるけれど、いざその作品をコレクションすることを考えると「周りから趣味が良いって思われるのか?悪いって思われるのか?」とか思ってしまう。
でも、このアートは自分にすごく問いかけてくることがあるなと感じる時に、幼少期のことを思い出したりとか、忘れていた自分の大事な価値観を思い出したりとかして、自分ってこういうタイプだったんだということに気づくってことで、「忘れている窓」が少し開いて大きく見える。
あと、自分は気づいていないけれど、こういうの好きですよねってアートを通じて教えてもらうこともありますね。これは、自分は知っているけれど周りは知っている自分、「盲点の窓(blind self)」ですよね。
コレクターである僕と古賀さんが、こんな風にアートの文脈とかを語っているって、僕たちからすると大事なテーマで好きな話だけど、そこに全く興味ない人からすれば、何でそこまでそこに対して考えているの?って思われたりもする。
「開放の窓(open self)」が広がるってことは、自分の人間としての器が広がるっていうか、色んなものをたくさん受け入れる器の大きい人間になるって思っているんだけど、やっぱり自分の自己成長にも、実はアートっていうのがすごく繋がるんだなっていうのを、今の古賀さんの話しを聞いて思いましたね。
古賀
自分の器が広がると、同じ作品でも対話の仕方が変わってきたり、見えてなかったものが見えてきたりと、感じが変わったことを凄く実感しているので、人生の可能性を教えてくれる存在なんだなっていうのは改めて思います。

【注釈】
ジョハリの窓(Johari Window)とは、自己分析をおこなう際に使用する心理学モデルのひとつ。「自分から見た自分」と「他人から見た自分」の情報を切りわけて分析することで、自己理解をおこなうというもの。ジョハリの窓は、自分の特性や自己理解において「4つの窓」に分類される。それぞれの特徴は以下のとおり。

開放の窓:英語でopen selfと訳される「開放の窓」。自分も他人も知っている自己のこと。

秘密の窓:英語でhidden selfと訳される「秘密の窓」。自分だけが知っていて、他人にはまだ知られていない自己のこと。

盲点の窓:英語でblind selfと訳される「盲点の窓」。他人は知っているが、自分では気づいていない自己のこと。

未知の窓:英語でunknown selfと訳される「未知の窓」。文字どおり、自分と他人も知らない、誰からもまだ知られていない自己のこと。

これからのアートの買い方、楽しみ方

野田
アートの買い方って決して難しいものではなくて、例えば今、色々な美術大学が卒展(卒業展)を販売展として開催しています。
最近だと、東京藝大が渋谷に「買える藝大」という名前で、学生の作品を売るギャラリーショップをオープンしたそうです。そのように大学も「売る」というテーマに対する授業や教育を積極的にやり始めているんです。
自分自身が豊かになる経験に繋がるんだと思って、卒展に行くとと面白いですよ。最近は卒展に行くと、アーティストさん、つまりそのアートを描いている学生さんが横にいるんですよ。で、どうやって描いたの?どんな思いで? モチーフは何ですか?って聞くとと、もう一生懸命話してくれるんです。
この人たちの誰かが、未来の日本をリードするようなアーティストになるかもしれないって思うのも楽しいですし、人によっては自分のお子さんと同じぐらいの年齢の人たちが、そうやって一生懸命アートを描いている姿に触れることができる。
実際にコレクションしたいと伝えると、2万円とかで買えたりもするものもあるんです。
その会話の中に、自分の人生を思い出させてくれるものであったりとか、人生を豊かにするような会話がかるかもしれない。壁に飾るだけのインテリアアートというよりは、皆さんにはぜひ、現代アーティストさんとのコネクションを持ちながら、アートをコレクションすることを生活の中に取り入れて、アーティストを支えていく活動を皆さんと一緒に取り組めたらなと思っています。
ぜひ皆さんも、ご自宅の壁に少しホワイトスペースがあれば、自分の人生を変えてくれそうな、そんな感じがするアートをぜひ飾ってもらえたらなと思います。
古賀さん、今日はいい話をたくさんありがとうございました。
古賀
こちらこそありがとうございました。
対談のパート1・2はこちら▼

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